金の装飾品がアジアで大人気の理由
金の用途を占めるのはどのようなものなのでしょうか。金の用途は通貨や装飾品のほか、工業製品としての用途がある事は知ってのとおりですが、実は金の用途の6割以上は指輪やネックレス等の装飾品。
工業製品や通貨は意外にも少ないのです。電子機器や工業向けの需要は、全体から見れば微々たる量に過ぎません。
では、装飾品としての金の需要が最も多い国はどこでしょうか。実は、ヨーロッパの国々でも日本でもアメリカでもありません。金の需要がもっとも多いのは意外にも「インド」なのです。
インドでは結婚するときに新婦の親が高額の金品を持参させる風習があるなど、伝統的に多くの金が利用されているのです。さらに金には魔除けの力があるとされ、宗教的な儀式でも金の装飾品が沢山使われます。金の装飾品消費量が世界一なのはそういう理由からです。
しかし、2008年の金の総加工量は、金価格の高騰を受け、前年比7.3%減の2,850トンにとどまっています。なかでも装飾品の需要の落ち込みは激しく、10.2%の減少となり、1989年以来の最低水準となる2,159トンにとどまる結果になりました。
やはりいくら装飾品の需要が大きいインドでも、金価格の高騰には太刀打ちできないようです。ただし、中国の装飾品加工量は、前年比6%、19トンの増加となっています。
中国の人も伝統的に金の装飾を好む傾向があります。さらに戦乱の時代が長かった事から、通貨への信頼はあまり高くないと言われています。そこに人民元高を追い風とする堅調な国内消費の増加があり、装飾品にも目が向けられるようになってきたのです。
中国では金価格の高騰は、さらなる値上げが期待できるというポジティブな予測が広まり、金製品の需要が一段と増えていくという背景もありました。