一番大きい金の需要とは何でしょうか?

前述したように投資用の需要が激増しているとはいえ、未だ需要の過半を占めているのは装飾品需要です。トムソン・ロイターGFMS「ゴールド・サーベイ2011」のデータによると、2011年の金の需要4,486トンのうち、装飾品用の需要は1,973トンもありました。

装飾品は産業用にも日々の生活にも必ずしも必要と言えるものではありませんから、金価格が上昇すると需要は低下し、逆に金価格が下落すると需要が高まります。装飾品に使用される貴金属はシルバーやプラチナもありますが、やはり一番使用される貴金属は金なのです。

装飾品としての金の需要が高いのは、インド、中国、アメリカ、トルコ、サウジアラビアといった国々です。

インドは歴史的に貴金属が好まれ、少し前までは銀がその主役でした。現在でも銀の輸入量は膨大ですが、インドの経済成長の結果、中間富裕層が形成され、金の需要が高くなっているのです。

その需要量は2009年の時点で471トンもあり、世界最大の装飾需要といえるでしょう。2011年後半の段階では金は最高価格をたたき出した一方、経済成長の鈍化によりインドの通貨ルピーの価値が下落、その結果、金の価格が急騰しました。このため金需要は頭打ちになっている状態です。

しかしインドで中間富裕層がさらに増えていけば金の需要はあまり変わらないまま推移すると予想されています。

インドに次ぐ装飾需要があるのは中国です。中国における2012年の金の加工需要は約590トンで、そのうちの9割近くが装飾需要だと言われています。経済成長が続き、その恩恵を受ける層がさらに増加すれば需要は伸びることでしょう。

投資用の金の延べ棒は純金製であることが要求されますが、装飾用はそうとは限りません。金の特性である、その軟らかさのため純金は傷が付きやすいという欠点があります。

それを避ける為、他の金属を金に混ぜて強度を増すことをよく行います。混ぜる金属によっては色が様々に変化しますから、デザイン変化のためだけに混ぜる事も。現在では金の含有量が少ない低カラットの装飾品がアメリカで主流となっています。

ちなみによく聞くであろう24金とは純金のことを指し、18金とは24分の18が金で残りの24分の6が別の金属のモノを指します。

また他の金属をほんの少量だけ混ぜてホワイトゴールドやピンクゴールドにしたものも現在は流通しています。アメリカとは逆に新興国では、できるだけ純金に近いものに人気が集まっているのとは対照的と言えるでしょう。アジアの新興国では、金は身につける装飾品というだけではなく、身に付ける資産という意味もあるようです。

デザイン料が加算されますから、金の装飾品は金そのものより割高になります。アメリカなどで人気がある低カラットの商品は利益率が高いと言われています。

さて、日本の金の装飾需要ですが、2009年でおよそ22万3,000トンとなっております。少ないと思われるかもしれませんが、日本においての金の需要は装飾用より工業用の方が多いのです。

さらに現在日本においては装飾用の金の需要が減少傾向にあります。これは金の値段の上昇と、若い層の嗜好の変化が大きく影響していると思われます。自分を表現する方法が他にもたくさんあるのがその理由だと考えられています。

金の価格上昇に伴い、金の買い取りをする専門店が増加しています。

誰もが自分の所有品が今どれくらいの価値があるのか気になるところ。基本的に金の装飾品の価格は、金の含有量に比例して決まります。現在の金の取引価格にグラム数を単純に掛けて計算。売却する時のことを考えると、純金に近いものがそれだけ高くなります。

ですから、デザインで選ぶか、金の価値で選ぶか、買う時に迷いますよね。買取自体は様々なところで行われていますが、相場より安い値段で買い取る業者もいますから注意が必要です。

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