金ETFとは具体的にどんな仕組みなの?
個人が金に投資したい場合も金ETFは利用できます。金ETFとは「エクスチェンジ・トレード・ファンド」の略称で、証券取引所で売買できる投資信託を表しています。投資信託は不特定多数の人から資金を集め、それを投資し、利益が出たら出資者で分配する投資法です。金ETFは金価格と同様に変動することを目指して運用されています。
早い話が、金ETFを購入すれば金の価格が上昇すると金ETFの価格も上昇し、金の価格が下落すれば同様に金ETFも下落するため、金を購入して保管しているのと同じになるのです。
実際、金ETFは実物の金を裏付けにしますから、集めた資金で金の延べ棒を購入しています。購入した金の延べ棒はカストディアンと呼ばれる保管会社で保管します。金ETFの購入者が、金の保有権を所有していると考えれば良いでしょう。保管された金に有価証券が発行され、証券取引所に上場されます。これによって株式同様、売買が可能となるのです。
金の延べ棒を日本で購入する場合、その価格はロコ・ロンドン・スポット価格に様々な手数料が加算された金額になります。また地金型金貨には鋳造費用が加算され、純金積立にも手数料や年会費が加算されてきます。
個人が金に投資する場合、前述したように様々な名目で費用がかかるのが通常ですが、金ETFは他のモノと比較して手数料が安いのが特徴です。運用の手数料として差し引かれる信託報酬は年0.4%程度であり、安価な手数料で長期間保有する方には向いていると思います。売買は証券会社を通して行います。
日本で購入できる金ETFは基本的な仕組みはほぼ同じですが、細部で差別化しています。例えば「SPDRゴールドシェア」は、ロコ・ロンドン市場の指標価格に連動している世界最大の金ETFです。一方「純金ETF(金の果実)」は東京証券取引所の先物価格に連動します。
またこのETFは日本国内に金を保管していますから、条件を満たせば金の延べ棒にして引きだすことができます。ちなみに普通の金ETFでは金の引き出しはできません。
各社の金ETFは1口数千円から1万円程度で売買されています。金の延べ棒や金貨より少額で金投資ができるのです。
金ETFを選ぶ場合、実物の金の裏付けがあり、売買の活発な商品を選びましょう。金ETFの中には実物の金の裏付けがなく、先物や債券の価格に連動する商品もあるので注意しましょう。
投資信託の中で金の実物の裏付けがなく、金価格に連動するように設計された商品を、金ETN(エクスチェンジ・トレード・ノート)と呼びます。価格の変動は金ETFと同様ですが、リスクは証券を発行した発行体次第です。
早い話が、発行体が破たんすると顧客がリスクを被るのです。純金積立における消費寄託保管と同じと考えればイメージしやすいと思います。資産の保全を第一に考えるなら、金ETNは避け、金ETFを選択すべきでしょう。まあ、発行体の信用力や手数料次第では選択に含めるのもやぶさかではありませんが・・・。
最後に金ETFは金融商品ですから、利益が出た場合は10%の税金がかかります。