中国が世界の金鉱山を奪おうとしている
世界で最も金の生産量が多い国はどこかご存知でしょうか?
昨年発表されたデータによれば、2013年の金生産量が最も多かったのは中国で、推計で43万kg、2位のオーストラリア26.5万kgを大きく上回っています。
しかし、この傾向は西暦2000年以降のこと、それまで金の生産量第一位の国は南アフリカでした。
中国の金生産量が増大しているのは、経済発展と無関係ではありません。
中国の金市場は今の中国が成立後厳しく管理されてきましたが、改革開放後は徐々に緩和され、2000年代に入ってからは需要も増大しています。
また、金鉱山開発をできる資金力をもった会社が出てきたことも影響しています。中国の鉱山会社は人件費を削りつつ鉱山開発をできるという強みもあります。
中国最大の金鉱山は福建省にありますが、現在開発が進められているのはウイグルやチベット等占領地域の鉱山。
これら占領地域には金のみならず天然ガスやその他レアメタルなども大量に埋蔵されており、中国がウイグル人やチベット人に対して民族浄化を行いながら占領に力を入れるのもこうした天然資源が目的でしょう。
そんな中国の産金企業が、今度は海外の金鉱山の買収を行っています。といってもこれは今に始まったことではありません。
これまでの中国の企業は海外の鉱山を買収してきました。ただ、2016年は買収による金資産取得額が過去最大になるという見通しなのです。
現在習近平体制の中国は「一帯一路」という経済政策を進めようとしています。
「一帯」は中央アジアから欧州にかけてのかつての「シルクロード」にまたがる地域、そして「一路」は東南アジアからインド洋を経てアフリカまで繋がる、かつての「海のシルクロード」。
つまりこれは、いわばかつての唐帝国のような威勢を取り戻さんとする壮大な習近平の妄想。ただし、全体の完成は無理でもそこに乗っかって一儲けしようとする勢力は存在するわけです。
例えば中国で2番目に金の生産量が多い山東黄金鉱業は「一帯一路」を重視した海外進出を行うと表明しています。
もう10年以上前から「中国破綻論」というのは常に言われ続けています。「20XX年に中国は崩壊する」と予言というよりは願望を書いた本もたくさん出版されています。
しかし、現実には中国はこのように海外進出をさらに強め、占領地だけではあきたらず国外の天然資源まで手中に収めようとしています。
確かに金鉱山にかぎらず海外の天然資源が買収されるときには、それぞれの国で中国脅威論が出ます。
我が国も例外ではありません。日本には鉱物資源は少ないけれど、水源地の山林が中国に買われています。
それらに脅威論を唱えるのは簡単です。
しかし、実際には売る者がいるから中国も買えるわけです。チベットやウイグルのように軍事的に奪い取ったわけではありません。
中国は歴史的に見て侵略国家です。奪い取ることは得意でも、守り育てることは苦手というよりはそういう発想すらありません。だから、一度手に入れた鉱山、資源は奪えるだけ奪い尽くすでしょう。
金に関しても同様で、中国は手に入れた鉱山から取れるだけの金を取り尽くすでしょう。そうなってから後悔してももう遅いのです。
それに、すでに中国が買収した鉱山ではずさんな開発による環境汚染問題などが発生しています。奪うだけではなく負の遺産まで置いていくのです。
結局のところ、破綻論にしろ脅威論にしろ言いっ放しなだけで、現実に対応しようとしていないから中国のやり放題になる。
今するべきなのは、実際そうやって世界の天然資源を買収しているという事実を見ることであり、自国の貴重な天然資源を守るためにどう対応すべきか現実に即して考えるということです。