燃えない金という事実が知れ渡った歴史
阪神・淡路大震災と金が関連しているのはご存じでしょうか。金の特性として火事にあったぐらいでは溶けないというものがあります。この特性がクローズアップされた出来事が阪神・淡路大震災でしょう。
震災当初は情報を収集しようにも電話が通じず、事態の把握は非常に難しくなかなか出来ませんでした。しかし、次第に明らかになっていくにつれ、とてつもなく大きな災害が起こっているという事がわかってきたのです。
それを知った金属工業の社長から「被災者の方々はすぐにお金が必要な状況になるだろうから、金の買取依頼があった場合はその場で買い取るように」と指示があったのです。そこで大阪にあったジュエリー店では、買取り用の資金の用意を増やし、お客様のご来店に備えたそうです。
ある番組で、燃え残った家庭用の金庫を開ける場面が放映されたそうです。こじ開けた金庫の中には燃えて灰になってしまったお札の残骸があったのですが、金貨と地金だけは一度溶けて固まった状態で残っていたのです。
当時の家庭用金庫は482~649℃で4時間以内に完全鎮火する設計で作られています。しかし火災が鎮火されないまま阪神・淡路大震災では10時間にわたって燃え続けたのです。金の融点は1,064℃ですから、金庫内の温度が1,000℃以上に達していたという事になります。この金庫内の映像は全国放送だったため、多くの人に金は燃えない財産だという事実を強く印象づけました。
日本は財産を自宅で保管する傾向が高いうえに地震大国でもあります。震災の大火は、決して他人事ではないと言えるでしょう。前述の通り、燃えない金で保管するのも大切な事だとも考えられると思います。