錬金術という試みと精錬術の歴史
金というものは、国境を越えて物を買ったりするのに、とても便利な存在として利用されています。国が違っても金の価値は共通。国際貿易の際にも重宝されてきました。しかし、金貨を使って物を買えば、相手側に金が流出してしまいます。こんな便利な金を自分の手で作れないだろうか、と洋の東西を問わず考えた人は沢山いたのです。
彼らは様々な物質から金を精錬しようとチャレンジを重ねていました。時には呪術や魔術といったアプローチから金を作ろうとしていたようです。このような試みの事を「錬金術」といいます。時の有力者たちは、そんな錬金術師たちに資金面でのサポートを惜しむ事はありませんでした。
結果的には、人の手で金を作り出すことは難しく、達成する事は出来ませんでした。しかし、錬金術の過程で硫酸や硝酸、塩酸などの化学薬品が発見されただけでなく、沢山の実験道具も発明されています。錬金術というとあまり良いイメージはないかもしれませんが、現代に続く科学の進化は錬金術をなくしてあり得なかったのです。
このように考えると、昔から人は利益を生む事に関しては余念がなかったと言えます。確かに金が生み出せれば、現在は全く違った世の中になっていたかもしれません。しかし、ここで金が錬金術によって完成してしまっていたら金の価値はどうなっていたのでしょう。
そのような疑問を基に、仮説を立ててみるのも面白いかもしれません。