世界最古の鋳造貨幣、エレクトロンとは?
世界最古とされている鋳造貨幣は「エレクトロン貨」といわれ、金と銀との合金でできた金貨でした。紀元前670年頃のメソポタミア時代に、現在のトルコで栄えていたリディア王国で使われていたものです。
エレクトロン貨はバクトロス川から産出した砂金で作られ、リディア王の紋章であるライオンの頭部が打刻されていました。
バクトロス川の砂金は天然の「金銀合金」でした。金は30パーセントから50パーセントだったようです。砂金や山金として発見される自然金は、純度の高い単体金属の場合もありますが、多くは金と銀などの合金。
「エレクトロン」とは、ギリシア語で「琥珀」という意味。天然の金銀合金の淡黄色の輝きが、エレクトロン琥珀に似ていたからだそう。ちなみに、江戸時代の日本の金貨もこのエレクトロンでした。
世界最古の金貨がいつどこで発行されたかには異説もあり、紀元前11世紀の中国で金貨が発行されており、リディアよりそちらが先であるという説もあるそうです。
現在では、金銀合金は南北アメリカ、ニュージーランド、ハンガリーなどで産出しています。金と銀の比率は5対1くらいが多いそうで、この金銀合金を電気炉で溶解すると簡単に銀が溶け落ちていくので、より純度の高い金を得ることができます。