400年前まで金は経済の主役になれなかった・・・、その理由とは?
世界最古の金貨とみられるのは、紀元前6~7世紀ごろのエレクトロン貨。それより早い時代に、中国に金貨があったとする説もあります。
古代ギリシアやローマでも金貨がつくられたことがあります。皇帝の肖像や古代の神話の神々が刻印されるなど、多種多様なデザイン、技巧をこらした金貨がいまも残っています。
ただし、それらの金貨は功労者への褒美や贈答品でした。古代、通貨として用いられ経済の主役となっていたのは、もっぱら銀や銅でした。
古代から中世までは、経済は銀本位制でした。古代において、取引や商売を行う人たちは銀貨や銅貨を使い、金貨を使うことはなかったのです。
紀元前6世紀にギリシアでつくられた「アイギナ銀貨」は高品質で評判がよく、地中海沿岸の国際通貨として用いられていました。
金貨はあることはありましたが、ふだんの買い物やの取引に使われることはありませんでした。金はごく少量でも価値が高く、金額としてあまりに大きいことから、日常的な買い物や、小口の取引には向いていなかったのです。かといって、普段の買い物にも使えるほど小粒の金貨を作ったのでは不便です。
17世紀前半にメキシコやペルーの銀山で銀が見つかり、その後ヨーロッパヘ大量に流入し、銀の価値が下がりました。そこでようやく金が経済の中心となりはじめたのです。
人間が金を発見したのは7000~8000年前ですが、金が経済の主役になったのは、ほんの4世紀前ほどのことなのです。