「有事の金」が史上最低の底値を記録したその理由は

1990年代に東西冷戦が終結し、中東や東欧諸国で紛争や戦争が多発しました。1980年代後半から、すでに東欧で社会主義体制の崩壊が続いていました。その流れで1991年にソ連が解体。

これによって東西冷戦は終結しましたが、次に東欧では民族の自立をめぐって各地で紛争が多発するようになりました。

また、これとは別に1991年に多国籍軍が組織されました。イラクのクウェート侵攻に対する制裁的な戦争が始まったためです。いわゆる「湾岸戦争」。

1997年には、アジアで通貨危機も起きました。

ところが、金相場はこれらの事件にほとんど反応しませんでした。多少の変動はありましたが、どれも短期的なものでした。1990年代の「有事の金」の相場は、むしろ一貫して下げ傾向となったのです。

この年代はソビエトが崩壊し、つまりアメリカが世界唯一の超大国となったばかりの時期。それに、IT産業の活性化が始まったころ。世界のITの主導権を握っているのはアメリカですから、当然そのことは多大な利益をもたらします。アメリカ経済は絶好調となりました。

金相場の反応が鈍かったのは、このアメリカ経済の好調が原因であると推定できます。その結果、金価格は1999年7月に「1トロイオンス252ドル」という史上最低の底値をつけたのです。

関連記事

ページ上部へ戻る