日本は金の密輸入が盛んだった理由とは?
敗戦後の日本では、金の密輸入が盛んにおこなわれていました。当時は国内の金山を保護するため、金の輸入が全面的に禁止されていたのです。
第2次世界大戦後、金の値段が世界的に下落しました。そのままでは日本の金山で金を生産しても、販売価格より生産価格のほうが高くついてしまい、閉山に追い込まれる可能性も出てきます。そこで日本政府は国内鉱山を保護するため、また国内の金価格を高値で維持するため、外国からの金の輸入を禁じたのです。
当時の国内の金需要は高まるばかりで、日本の金山からとれる量では間に合っていませんでした。輸入した金のほうが安いとなれば、法律を犯してでも欲しいと思う人は必ず出てきます。安く金を買えるだけでなく、それを元手にしてさらに儲けることも可能です。ですから、その時期に日本への金の密輸が盛んになったのです。
金の密輸業者は運び屋に、ポケットのたくさんついたジャケットやチョッキを着せ、そのポケットに金塊を入れて持ち込ませていました。体の大きい男性なら、数十キログラムの金をまとって入国することもできました。40キログラムの金をチョッキに忍ばせていた男性が空港で捕まったこともあります。
当時は金属探知機が発達していなかったので、そういう手段で密輸品を持ち込むことが可能だったようです。