歯医者さんは、さまざまな貴金属を使って治療をしています

「金歯」「銀歯」は文字通り、金や銀を利用して作られた義歯です。歯科医療、つまり「歯医者さん」は、金や銀、パラジウムなど、さまざまな貴金属を使っています。金や銀、そして白金族は、口のなかで唾液が電解質となって微電流が流れても溶けることがないからです。

たとえば、虫歯で空いた小さな穴には、銀と水銀が主成分の合金や、金箔を丸めたものが詰められます。ブリッジやクラウンは、白金族のパラジウムや銀に、銅、錫(スズ)、金などを加えた金銀パラジウム合金が使われています。

歯科以外の医療でも、白金族は活躍が期待されています。

たとえば近年、白金化合物が抗がん剤として期待を集めています。アメリカのミシガン州立大学のバーネット・ローゼンバーグ教授が、大腸菌の培養実験中に直流電流を通じると、大腸菌の細胞分裂が抑制されることを発見しました。

このことが電流の影響ではなく、白金電極から流れ出した白金イオンの作用であることも同時に発見されました。白金イオンが培養液の成分と反応し、新たにできた白金化合物により細胞分裂が抑えられていたのです。

そこで、同教授らのグループは、細胞分裂を抑える効果があるものは、がん細胞の分裂も抑える効果もあるのではないかと考え、研究を重ねました。その結果、動物実験で抗がん作用が認められたため、白金化合物は「シスプラチン」と名づけられました。

「シスプラチン」は、がん細胞のDNA複製を妨げ、がん細胞を死滅させるのではないかと期待されています。

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