どのように金は他の金属と異なるの?
むかしから金属にはいろいろな種類がありましたが、その中でも価値が高いモノを貴金属と呼んでいます。一般的に貴金属と呼ばれるのは、金、銀、そして白金系の金属です。白金系の金属は、プラチナ、パラジウム、ロジウム、ルテニウム、イリジウム、オスミウムの6種類です。
このうち、プラチナとパラジウムについては専門の市場があり、残り4つについては専門業者間や生産者と需要者間で直接取引されています。
東京やニューヨークの先物市場で市場取引されているのは、金、銀、プラチナ、そしてパラジウムの4種類であり、基本的にこの4種類を貴金属と呼ぶ方が圧倒的に多いようです。そして言うまでもなく、貴金属の代表とされるのが金であります。
2013年4月の時点で金とプラチナの価格はほぼ同じ位であり、最も高い貴金属と言えます。日本円の価格で1グラム4,980円もします。
一般的にグラム単位で価値を計るモノはそんなに存在しません。高嶺の花というべき高級和牛でも100グラム2,000円くらいです。金の価値は100グラムで49万円ですので比べるべくもないでしょう。そして小さくて価値が高いということは、少量で大きな価値を保存できます。この事実がさらに金の価値を上げているのです。
金の価格は日々変化していきます。円換算で考えると、1999年9月30日に金は1グラム当たり840円でしたが、2013年1月2日には1グラム当たり4,712円になりました。実に5.6倍であり、金の価値は相対的に決まると言う事がよくわかります。最近は金の評価が高まり、その価値も有史以来最も高いと言ってよいのではないでしょうか。
では貴金属類はどのように使用されているのでしょうか。まず銀については写真のフィルム、スイッチやヒューズといった電気関連商品、装飾品、抗菌製品、はんだ、食器、硬貨などに使用されています。
一方プラチナは装飾品と自動車の排ガス触媒が主な使用法です。そしてパラジウムは自動車の触媒以外に、装飾品、歯科材料、電子材料などに使用されているようです。
金についてはこれまでお話ししてきたように、装飾品や工業品だけでなく、資産の保存法として使用されているのが特徴的です。実際に何かに使うのではなく、価値の保存に使用される点が、他の貴金属との大きな違いです。
貴金属の中でも金だけ需要構造が異なります。他の貴金属は前述したように産業用の需要が大きく、全体の8割を占めています。一方金は、反対に装飾用や資産用が8割を占めているのです。
別の言い方をすれば金の需要のほとんどは不要不急のモノと言えるでしょう。極端に言えば、装飾品や金の延べ棒は無くても困る人はほとんどいません。しかし産業用需要が多い他の貴金属は無くなると困る人が多いのです。そこだけに焦点を当てれば、他の貴金属の方が金より価値が高いと言えるのではないでしょうか。
そうは言っても、歴史的にいつまでも変わらない不変性が最も大切な価値であると認められており、金は価値の保存に使われています。銀は金と比較して価値が低すぎますし、プラチナも価格だけで言ったら金と同程度ですが、市場規模が金の20分の1しか無く価値保全のための流通性の点から落第です。また産業的な実用性が価値の保存性に向きません。そういう様々な事情から金は、理想的な貴金属なのです。