金やプラチナへの投資を始めたくなったら
金は、以前は宝飾品としての需要が最も多かったのですが、現在では投資の対象としての需要が増えてきました。金は通貨と違って国家の保証と関係なく価値があります。また、金は株と違って発行元の動向と関係なしに価格がつきます。
そのときどきの政治の動向や経済状況の変化により、そういった金の特性に関心が集まって金価格が上ったり、逆に株価が上昇したときなどは関心が失われ、金価格が下がります。
プラチナは金と同じように、宝飾品や医療分野などにもかなりの需要があるのですが、通常は経済状況の影響が大きく、とくに自動車産業の景気を反映しやすい金属。
自動車の減産が報じられたり、自動車メーカーに関する報道だけで価格が変化することがあります。これは金にはない、プラチナ特有の現象です。
金やプラチナの値動きの特性はだいたいこのようなものですが、ではそれをふまえた上でそれでも実際に投資したいとなったら、なにからはじめたらよいのでしょうか。
金やプラチナに関する商品や投資には何種類かあります。新聞や雑誌などで色々と宣伝されていますが、実は投資方法の種類はそれほど多くはありません。でもその中からどれを選んだらよいか判らない場合、どうしたらよいのでしょうか。それぞれの投資先を、どのように比較したらいいのでしょうか。
金やプラチナ投資のもっとも基本的な形は「現物投資」
「現物投資」とは読んで字のごとく、現実に存在する物体に投資をすることです。つまり、地金や地金型金貨を購入するスタイルのこと。
地金を購入できる場所は貴金属店や宝石商、鉱山会社などです。直接店頭に出向いて購入するのが一般的ですが、最近は電話やインターネットでの注文を受け付けている会社もあります。
金地金を販売しているのは色々なブランドの「精錬会社」。販売会社によって取り扱っているブランドが異なりますが、本物の地金は基本的にどのブランドのものを買っても価値は同じです。
「購入した金地金は買ったときと別の会社で売却したい」というときには、ブランドによって売却の価格や手数料に差異が生じることがあります。また、別会社の買取そのものを取り扱っていない場合もありますので、事前に確認や問い合わせをしたほうがいいでしょう。
購入価格より売却価格が高ければ、それで利益を得られるわけです。
日本にはロンドン金市場で公認された精錬会社があります。地金を買うときには、公認の精錬会社の刻印がある「グッド・デリバリー・バー」を選ぶようにしましょう。これは、グローバル・スタンダードとして、世界中でその価値が認められている表示です。
「現物投資」には地金型コインを購入する方法も
代表的な地金型金貨として、オーストリア政府が保証する「ウィーン金貨ハーモニー」、カナダ政府が保証する「メイプルリーフ金貨」などがあります。
また、地金型プラチナコインとして、アメリカ政府が保証する「プラチナイーグルコイン」、カナダ政府が保証する「プラチナメイプルリーフコイン」などがあります。コインの魅力は美しく手軽であること、地金よりも少ない金額で購入可能だということでしょう。
コインには、1オンスのほかに、2分の1オンス、4分の1オンス、10分の1オンスがあり、全部で4種類あります。1オンスは約31グラムですから、2分の1オンスが15.5グラム4分の1オンスが7.77グラム、10分の1オンスが3.1グラムということになります。
時価にもよりますが、金貨の場合13,000円くらいから、プラチナの場合は15,000円前後から購入可能です。また、購入には手数料などがかかることがあります。
地金型コインは、コインに加工する費用などを含む「プレミアム」が加算されることがあります。購入も売却も、同じ重量の地金より少し高い価格で行われます。
記念硬貨など趣味として収集される「収集型コイン」は、「金地金型コイン」とは性質が異なります。皇室での記念行事や、オリンピックなどの時に発行され、金貨の発行枚数と人気度で価格が決まるものです。
もちろん、万が一収集型コインの人気がなくなって価値が下がってもコインに含まれる金量そのものはなくなりません。ですから、金量に応じた価値はなくなりません。
「現物投資」の一つである純金積立
これは、毎月一定額で継続的に金を購入するもの。毎月一定の金額を指定の口座から自動的に引き落として、その金額を取扱会社の営業日に応じ日割りにします。毎日、その日割りの金額分の金を買って積み立てていきます。
金の時価によって、価格が安い日には多く買い、高い日には少量買うことになり、平均的なコストを下げられます。
たとえば月3,000円の純金積立を申し込んだとします。その月の営業日が20日間であれば、営業日一日ずつについて、毎日150円ずつ金を購入することになります。
積み立てた金の地金は取扱会社が保管します。投資家の申し出によって引き出したり売却したり、会社によっては金貨やジュエリーと交換できることもあります。さらに、買いためた金は取扱会社が預かってくれます。
保管形態は「特定保管」「消費寄託」の二種類があります。どちらの方法で保管されるのか確認しておくことが大切。「特定保管」とは、取扱会社の資産と、顧客の地金を完全に分けて管理するというもので、万が一取扱会社が破綻しても、顧客の地金はすべて保管されます。
「消費寄託」とは取扱会社が顧客の地金を運用して、運用益の一部は顧客に還元するというものです。ただし、取扱会社が破綻したら地金が返却されるとは限りません。
プラチナにも純金積立とほぼ同じ仕組みの商品があります。