東京商品取引所ではどのような金取引が行われているの?

世界最大の金の先物市場はコメックスですが、それに続く第2位が日本の東京商品取引所です。トコムという通称で呼ばれる場合もあります。

歴史的に見ても、また世界に開かれた市場という意味から見ても、コメックスとトコムが2大取引市場と言えるでしょう。近年ではインドのマルチ取引所、中国の上海先物取引所も存在感を増しつつありますが、海外からの参入という点から考えると、未だローカル市場だと言わざるを得ないでしょう。コメックスやトコムレベルになるには、まだまだ時間がかかると思われます。

トコムは当初、東京繊維商品取引所として1951年にスタートしました。その後、1952年には東京ゴム取引所が開所、そして1982年に東京商品取引所が開所され、金取引が始まるのです。1984年にこの3つの取引所が合併し、名前も東京工業品取引所となりました。

この当時は「板寄せ」と呼ばれる競りで取引を行っていました。1日6回、取引所の場立ちに電話が繋がれ、売買の注文を入れて、約定値を決めていくという方法で売買の機会は1日に6回だけでした。

それが1991年4月、コンピューターの「ザラ場」による約定方式に変更されると、1日6回しか売買できない「節商い」から、1日何回も売買できる「ザラ場商い」に移行したのです。その後取引時間も年を経るごとに延長されていき、2010年9月からは午前9時から翌日の午前4時まで取引が可能となっています。

また2008年12月からは株式会社商品取引所に組織変更をし、2013年2月には、農産物・砂糖市場を東京穀物取引所から引き継ぎ、その際、名称も「東京商品取引所」に変更しました。

トコムは円建ての金先物市場ですが、過去にコメックスの4分の1程度まで取引量が増加したことがあります。ドル建てでもない市場で、そこまで取引量が増加したのは異例です。その当時、プラチナに関してはNYMEXを抜き、世界最大の先物市場になっていました。

現在では、金の取引量はコメックスの10分の1以下になり低迷中ですが、円建てでおまけに1年先物が取引の中心という他に例がない取引市場であるのに、ここまで世界中から売買注文が集まること自体、レアケースと言えるでしょう。

しかし近年はコメックスの24時間取引化や法規制強化により、トコムには逆風が吹いています。ですが、金需要の中心がアジアである以上、トコムにはアジアにおける相場形成をリードしていく責務があると市場関係者は見ています。

世界における金価格形成の中心は、ロコ・ロンドン・スポット・マーケットでした。過去の経緯や、ドル建てで24時間取引をカバーできたからです。しかしコメックスがコンピューター取引メインとなり、24時間取引をカバーするようになると、影響力が低下していきました。

インパクトのある価格の動きは近年、コメックスの独壇場になりつつあります。同じドル建てでレバレッジをかけた大きな取引が容易にできるため、コメックスでの投資家の動きが相場形成に多大な影響を与えるのです。

トコムの影響力は低下傾向で、これに歯止めをかけるには、新しい投資家の参入が不可欠だと考えられています。

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