最近になって金に注目が集まっているのはなぜ?

現金の預け先として真っ先に思い浮かべるのは、銀行などの金融機関ではないでしょうか?しかし日本では低金利が10年以上も続き、預けても増えることを期待できる状況ではありません。

では株式投資はどうでしょうか。値下がりリスクはありますが、預金よりも高い利回りを期待できます。しかし株式も日経平均株価を見れば分かる通り、20年あまり低迷中。

その二つをしり目に2000年代に入って絶好調なのが「金」です。金の価格は1グラムあたり2000年には1,000円前後でしたが(円建て)、2013年には5,000円前後、なんと13年で5倍になっているのです。値が上がると注目が集まり、買う人が増える。そして買う人が増えたおかげで、また値上がりし、注目がさらに集まるという好循環が続いているのです。しかしなぜだか日本人で金を買うのはまだ少数派です。他の世界の人々は買っているのに。では、なぜ金がこれだけ注目を浴びて買われているのか詳しく見ていきましょう。

人類史上壮大な実験でもある欧州の統一通貨「ユーロ」の導入。同じ通貨を使用するというだけでなく、同じ経済政策を取るという点が実験なのです。2009年秋、ユーロを導入した国のひとつであるギリシャは大規模な赤字が有るにもかかわらず、過少に公表していたのが明るみに出て市場でも信用が低下、国債価格が暴落しました。悪いことにユーロ圏内の少なくない銀行がギリシャ国債を保有しており、その経営を揺るがす問題となっていきました。銀行が破たんしたらどうなるか。

リーマンショックを経験した世界はそのインパクトを十分に理解しており、切迫した危機感が世界を覆いました。

同じ通貨を使用しているため他のユーロ導入国にも少なくない影響を与え、それは導入国間の関係にもヒビを入れました。ユーロ導入国はギリシャを建て直すため、現在も努力しております。

ユーロ導入国の中には、ギリシャ以外にも巨額の財政赤字に苦しんでる国があります。今後ユーロはどうなるか。そういう不安が金に投資資金を向かわせているのでしょう。そのため2000年代には金の値段が急騰したのです。

金には国籍がなく、印刷されただけの紙幣とは異なり「実体」があります。リスクを感じ取ったら、金が注目を集め、盛大に買われる。そんな傾向が以前からありました。もしもの時には金、そんな信仰に似たものがあるのです。

ここ最近はリーマンショックやユーロ危機の影響でドルやユーロなどの基軸通貨に対する信頼が揺らぎ、既存の金融商品のへの投資家の不安が増大しました。そしてその結果、金への資金の流入に拍車をかけたのです。

またこういった危機への対策である金融緩和がさらに金融資産の魅力を低下させ、実体があるものの代表である金の価値を高めているのです。

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