金を購入する目的と金の埋蔵量の関係とは

資産としての価値と金属としての価値、金にはこの2つの価値があります。資産としては金の延べ棒(金地金)にして様々な方が買っていきます。また金属としては主に装飾品に加工されていきます。

現在ほとんどの国で金は自由に売買され、そしてその需要と供給によりその価格が決まっていきます。

みなさんは金が世界にどれくらいあるかご存知でしょうか?太古の昔から人類が掘り出した金の総量は17万1,300トンと推定されています。だいたいオリンピック用プール3.5杯分です。一般にこれを金の地上在庫と呼びます。世界中から金をかき集めてもこれぐらいしかないのですから、貴重品とされるのも無理ありませんね。

前述した金の地上在庫の使用法を見てみると、8万4,300トン分が装飾品として加工されています。そして3万3,000トン分が投資用、つまり金の延べ棒や金貨にされています。2万9,500トンが世界各国の中央銀行の所持分。これもほとんど金の延べ棒の形で保管されています。

中央銀行が金を所持する理由は危機が起こった時に利用する資産準備のためですから、投資の一形態とみなせます。そうすると投資用の金の総量は合計で約6万2,000トンとなり、地上在庫の36%余りを占めることになります。それ以外、つまり工業製品などに使われているのは2万トンとなります。

最近「金の装飾品高値で買い取ります」という宣伝や広告をよく見かけるようになりました。金の装飾品は金の価値が上がると売買量が増えます。そして投資用の金も、資金需要の関係で売買されることがあります。このように金の地上在庫は所持者の様々な事情で売買され、新しい用途の供給に回されます。

一方で鉱山から掘り出されることによって、新しい金が陽の目を見ます。2011年は合計2,800トン、地上在庫から売買されて供給に回される金がおよそ1,660トンですから、それらを合計すると年間供給量は約4,500トンあまりになります。これらの金はどのようになるのでしょうか?

年間供給量の約4,500トンのうち、ほとんどは装飾品が占めることになります。購入者は装飾品製造会社などです。その量およそ1,970トンで年間供給量の44%になります。次に多いのは投資用で1,200トン、年間供給量の27%を占めています。この投資用の需要が年々増加しているため金への注目度が上がっているのです。装飾品用と投資用で需要の70%を占め、残りは工業製品などの加工用となります。

投資用や装飾用など、「無くても生活できる」需要が金の大部分を占めています。銀や白金系貴金属(プラチナやパラジウム)の需要の80%あまりが工業用に使われているのとは、対照的だと言えるでしょう。

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