金と預金・債券・株式などの違いは何?
別名ペーパー資産と預金・債券・株式は呼ばれています。通帳や証書などは紙ですし、発行している機関の信用を基にやり取りされているからです。発行している機関のことを特に発行体と呼び、発行体の経営状態次第では投資したお金が戻ってこない恐れがあります。これを一般に信用リスクと呼びます。
最近は通帳を発行しないネット銀行も登場し、また国債や株式も電子化され紙の証書が発行されないのが普通となってきました。こうなると本当に発行体を信用して取引するしかありません。
さて、発行体の信用度を視覚化したモノとして格付けがあります。もっとも、格付けが最高ランクのトリプルAだったとしても、リスクが絶対無いとは言えません。これはリーマン・ブラザーズの例を見ればわかると思います。残念ながらペーパー資産は信用リスクから逃れることはできないのです。
その一方金は、企業や国の信用を源にしている訳ではありません。金そのものの価値で取引されているのです。よって金には信用リスクというものが存在しません。金の価格は日々変動していますが、価値がゼロになることはありません。これがペーパー資産との大きな違いと言えます。
ちなみに金は燃えても消失することはありません。熱で原形を失っても金の延べ棒でも何でも再生することが可能なのです。阪神大震災の時、金庫が燃えて灰になった紙幣と、溶けてしまった金がクローズアップされたことがありましたが、これも後に再生したはずです。これは金が価値の保存に向いていることを示す象徴と言えるでしょう。
日本における金の売買は商社を中心に行います。金融機関の外国為替を扱う部門が主に金取引をしている外国とはそこが異なります。外国では金は国籍のない通貨とみなしているため、外国為替部門が扱うのです。ですからドルやユーロの通貨不安が起こると、通貨を売って金を買うという動きになるのです。
中央銀行はお金の量をコントロールしていますが極端な話、紙幣を刷れば無尽蔵にお金を生み出すことが可能です。実際景気対策として紙幣が刷られに刷られている現状です。債券や株式も発行体次第ではたくさん発行することも可能なのです。
一方金は存在する量が少なく、太古の昔から掘り出した分しか使用することができません。毎年新しく掘り出していますが、市場に出せるようにするには時間がかかります。通貨とは違い容易ではないのです。
ペーパー資産より優れた点がある金ですが、もちろんデメリットもあります。預金や債券には当然利子が付きますし、利子は原則、発行体の信用力によって設定されますから、ハイリスク・ハイリターンを選択することも可能です。
一方、金には基本的に利子が付きません。株式は企業の業績によっては配当金を得られるし、値上がりすることで含み益も得られます。その一方金は、それ自体は利益を生み出さないので、配当金は当然ありません。好景気の時はペーパー資産は金利や配当を生み出し、金融商品としての本領を発揮するのです。
まとめると金は信用リスクが無い事実上の無国籍通貨で、ペーパー資産と比べて価値の保存に向いており、希少で金利や配当が原則無いところが預金・債券・株式と違うところです。言うなれば、金は他の金融商品のリスクヘッジの役割を持っていると言えます。