なぜ今、金の売却が増加しているのか?
装飾品、金の延べ棒、工業製品など、生産された金は様々な形に加工され出荷されます。金の相場が上昇すると、加工された金を売却しようとする人は増加します。中古の金製品の買取をスクラップ回収と一般に呼びますが、一番多いスクラップ品はネックレスや指輪などの古い装飾品です。珍しいスクラップ品として、仏具や茶釜、そしてメダリオンなどもあります。
2000年で620トン程度だった世界のスクラップ回収量は、2009年には1,735トンまで増加しました。日本でも最近、金の買取業者が増えてきました。スクラップの量は金の相場と密接に連動しています。相場が上がるとスクラップの量が増え、相場が下がると量が減るのです。
金はどんな加工をされても金ですから、重さから適正な価格がはじき出され、その価格で買い取ってもらえます。買い取られたスクラップ品は専門の製錬所へ運ばれ、そこで溶かされ、新しい金製品の材料になっていきます。
金のスクラップは増加の一途です。多少摩耗するかもしれませんが、基本的にそのまま回収することができます。回収のノウハウの蓄積も進んでいます。例えば、取引先の自動車メーカーが海外進出する時にリサイクル業者も一緒について行き、自動車に使う金やプラチナやパラジウムのリサイクルを一手に担うのです。また電子部品を中心とする都市鉱山をまとめて購入し、そこから金を取りだすことも行っています。
毎年生産される新産金が2,800トンであるのに対し、スクラップから再生される金の量は1,600トン。随分と差がなくなってきました。
保有する金の延べ棒を売却する場合、購入した店舗で売却するのが原則です。他の店舗だと買取を拒否されることもありますし、また相場より安い値段でしか買い取らないところもあるのでご注意ください。金の売却は信用できるところで行うのが一番です。
貴金属専門の大手、田中貴金属工業が「リ・タナカ」という装飾品買取専門ブランドを立ち上げました。ここは貴金属の相場から計算された合理的価格で買取をしてくれます。大手の参入で相場に合った値段が公表され、装飾品の買取価格に透明性が生まれたと言えるでしょう。
この数年で金・プラチナ買取ビジネスは急成長しました。家庭に放置されていたスクラップ品が、金相場の急騰とともに市場に出てきたのです。一般に壊れたネックレスや古い指輪などに価値があるとは知らなかった方が多数派でしたが、それが数千円、数万円で売却できることが広く知れ渡ったのです。
売り手側はいらない物を処分出来、その上お金を受け取れますから幸せです。一方買い手側も相場より安い値段で買取り、次の日には相場が上がって利益が増加することも多々ありますから、こちらも幸せです。さらにこのビジネスを始めるのにほとんど投資する必要がありませんでしたから、新規業者がどんどん参入してきたのです。
しかし参入が増えたことで市場が飽和となり、相場より著しく安い値段で強引に買い取る「押し買い」が社会問題として浮上してきました。
もう一度繰り返しますが、金を売却する場合は信頼できる業者を選択しましょう。またネット等で金相場をチェックすることも重要です。なお金の買取価格は一般に税込価格ですので、そこもご注意ください。