金を掘るには資金が必要、世界各国のお国事情は・・・

1886年、日本では明治19年。その年に、南アフリカはヨハネスブルグの南、ウィットウォーターズランド丘陵で、大規模な金の鉱脈が発見されました。400キロにおよぶ露頭の大金脈が見つかったのです。

露頭とは、鉱床が地表に露出している状態のこと。つまり掘りたいものが地表に見えてるのですから、採掘は容易です。地元のアフリカ人労働者だけでは手が足りなくなり、中国人労働者も導入して、南アフリカは世界一の産出量を実現しました。

ですがその後、金の生産コストの上昇によって、南アフリカは世界一の座を失うことになりました。

2009年の「産金コスト」は1トロイオンス(約31.1グラム)あたりが721ドル。世界平均が617ドルでしたから、これはかなり高額なコスト。それに、露頭の金鉱脈は、掘りやすいだけに、すぐ堀り尽くしてしまいます。

掘りやすい場所がなくなってしまったので、現在の採掘現場は平均で地下2,700メートル、最深では4,000メートル。千メートル単位の地下世界。地圧は高く、地熱は40度から50度にもなることがあります。

その環境に対応するには、エレベーター、換気、冷房などの、多くの設備投資をしないといけません。さらにそれらを現場で使うには、高額の電気代も必要です。南アフリカが1990年代に民主化すると、人件費や資材代、電気代までもが値上がりし、採算がとれなくなっていきました。いろいろな事情が重なりあい、南アフリカの「産金コスト」は高額につりあがっていったのです。

これに対して、中国やインドネシアなどには、今でも露頭の金鉱脈が残っていて、今後の開発が期待されます。いつかこれらの国が、露頭の金鉱脈をすべて掘りつくす可能性はありますが、その場合も南アフリカの前例に学ぶことが可能といえるでしょう。

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