日本には世界最高水準の金鉱山が実はある
現在の日本国内では、金の採掘はほとんど行われていません。「採掘もなにも、日本にそんなに金があるの?」と思われそうですが、日本の地質は金の採掘が可能。それでも、あまり採掘が行われていないのは採算がとれないから。
金の採掘をおこなうには、ただ金鉱脈があるというだけではどうにもなりません。金を採掘するためのコストをカバーできるくらいの利益が出なければ、事業が成立しません。
明治から大正の時代は、貨幣法によって金一匁(3.75グラム)が5円と定められていました。その頃は、鉱石1トンに金が一匁以上含まれていれば、それで採算が取れました。ところがその後、金価格が下がってしまい、それまでいくつかあった日本の金山は経営が行き詰まり、閉山してしまったのです。
現在は、熊本県と鹿児島県の県境にある「菱刈鉱山」が、日本の金の国内生産量のほぼ全てを占めています。
菱刈鉱山の推定埋蔵量は250トン。これは、日本国内の他の主要金山全ての埋蔵量を合計しても、それをさらに上回る大規模な数字。
2012年には新たな鉱脈も発見されています。また、菱刈鉱山の特長は金の含有量がきわめて高いことです。通常、金の含有量は鉱石1トンあたり数グラムと言われていますが、菱刈鉱山では平均50グラム。290グラムという記録もあって、世界最高水準の数値なのです。