世界一の金生産国ではなくなったけれど・・・

19世紀末、ヨハネスブルク近郊の農村で巨大な金鉱脈が発見され、南アフリカの探鉱事業がはじまりました。1897年には世界一の金生産国となり、その後100年以上に渡り世界一であり続けました。

金の年間生産量がピークに達したのは1970年。生産量は1,000トンを超えていました。カリフォルニアのゴールドラッシュ時のピークが年間93トンでしたから、それとくらべるとケタ違いの生産量です。

今日まで地球で採掘された金の総量は16万トンと言われています。南アフリカで採掘された金の総量は5万トン。つまり、世界の金の3分の1が、このときの南アフリカで採掘されたことになるのです。

そこまでの生産量を誇りながら、南アフリカは2007年、世界一の座を中国に明け渡しました。南アフリカでは人種隔離政策により、人口の80パーセントを占める黒人が全土の10パーセントの荒地に押し込められていました。世界一の金の生産で得た利益も、その富は一握りの白人に独占されていました。

1994年にアパルトヘイト政策が撤廃され、南アフリカでそれまで優遇されていた白人の資本家、テクノクラートが国外に流出していきました。その影響で南アフリカの金の生産力が落ちてしまい、金生産量世界一からの転落につながったのです。

それだからといって、南アフリカがアパルトヘイト政策の撤廃を後悔するはずもありません。南アフリカは金生産量世界一の座を明け渡す代わりに、それとは別の富を手に入れたのです。

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