海水には50億トンの金が溶けている!?
金の含まれる石を肉眼で見て「この石には金が含まれているぞ」と、わかることはめったにありません。
肉眼で金とわかるには岩石1トンあたり30グラム含まれているといいのですが、金はよくても1トンあたり3グラム程度しか含まれていないもの。肉眼でわかる量の10分の1含まれていれば、金を含んだ石としてはまだいいほうなのです。
そこで、ドイツで「海水から」金を採集して戦費にあてようという話が出たことがあります。これは第二次世界大戦中のこと。
戦争中ですから戦費がかかりますし、新しい兵器も開発したい。その開発費も必要です。ドイツはその費用を調達するため、昔から知られている「海水の金」に目をつけたのです。
一般に、金は水には溶けません。
それでも多少の溶解性はあるので、世界中の海水には約50億トンの金が溶けている、という説があります。なんとかして戦費を集めたいドイツが、海水を集めて金を採集しようと思いついても不思議ではありません。
ただし、海水の金の濃度は0.0005ppm。つまり、100万トンの海水のなかに500グラムです。ドイツは結局「戦費は欲しいが、いくらなんでも無理」という結論になったようです。