電気自動車の普及は、プラチナの需要を押し下げる?
プラチナは現在、ガソリン車の排ガス浄化装置の触媒として使用されています。そしてその分野での需要は莫大です。しかしその一方で、地球温暖化への懸念から世界各国で電気をエネルギー源とした、電気自動車の開発が急ピッチで進んでいます。この電気自動車の開発が終わり普及していくと、将来的に排ガスを一切出さない自動車が一般的になり、プラチナの需要が急減するのではないかという意見があります。さらに需要バランスがいっきに崩れ、値段も大暴落する恐れがあるのです。
ですが現在のところ、まだ電気自動車の量産には問題が山積し、電気自動車が普及するまではハイブリッド車がその間を埋めると思われます。ハイブリッド車には排ガスが出る以上プラチナが必要不可欠ですから、プラチナの需要が下がるのは先の事だと思います。また、プラチナは排ガス浄化装置の触媒だけに使われているのではないので、電気自動車にも一定量のプラチナが必要なのです。
プラチナは貴金属の中でも飛び抜けて触媒作用が高く、何か新しい技術が開発される場合、ほぼ例外なく大量に使われています。ただしプラチナはもともと貴金属であり、高価ですからプラチナの代用品の開発も進められています。
例えば、以前は注射針にプラチナが使われていましたが現在はステンレス製が普及しています。そこから考えると遠くない将来、ペースメーカーや制癌剤も、プラチナの代用物質に代わっていくのかもしれません。
その一方、先端技術は次々に開発され、それによって新たなプラチナの需要が生まれています。このサイクルが繰り返されることによって、プラチナの需要は低下しないのです。ですから、自動車の場合もプラチナの使用量がそこで減少しても、おそらく他の分野で新しい需要が生まれます。
貴金属メーカーの使命は新しい技術に対応できるよう、より良いプラチナ製品を開発していくことなのです。