重くて変質しない上、加工しにくい性質を持つプラチナ
みなさんはプラチナの性質について、どれくらいのことを知っておられますか?プラチナは18世紀の半ばまで、科学的に認められなかった不遇の物質でした。そして認められなかった理由は、プラチナがもつ扱いにくさにありました。
溶かして鋳造するのが一般的な金属の加工方法です。銀の融点が961度、金の融点が1,064度、鉄の融点1,536度であるのに対して、プラチナの融点はなんと1,770度。他の金属と比較しても、かなりの高温でしか溶けないことがよくわかると思います。高い温度でしか溶けないプラチナは、その溶けにくさのため不遇な時代が続いたのです。
またプラチナは酸にもアルカリにも強く、酸化したり変質したりすることはほとんどありません。薬品や高温に対する優れたプラチナの耐性は、逆から見ると加工しにくいという欠点にもなります。
付け加えて、プラチナは重いという性質もあります。銀の比重が10.49、金の比重が19.32であるのに対して、プラチナの比重は21.45もあるのです。これは1面が100平方センチメートルの立法体の重さが21キログラムを超えることになります。掌に乗る大きさのものが21キログラムもあるのを、想像できるでしょうか?
溶けにくく、加工しにくく、さらに重いという性質。先人たちにとってはやっかいな金属だったと想像できます。