プラチナやパラジウムはどんな貴金属なの?

プラチナ、パラジウム、ロジウム、ルテニウム、オスミウム、イリジウムは白銀系と呼ばれる金属です。このうちプラチナとパラジウムは専門の市場がありますが、あとの4つは直接取引でやり取りされていて、投資家が入り込む余地はありません。

プラチナ、パラジウムの生産量は年間200トン前後、金の生産量のおよそ14分の1程度です。太古の昔から掘り出された金の総量は50メートルプール約3.5杯分と言われてますが、プラチナは約4,000トン、体積にして1辺が約6平方メートルの立方体ぐらいの量しかないのです。そのため金と比較してもその希少性が際立っています。

実用性は金よりも高く、需要のうち約70%が工業用です。そしてその中でも最も需要が大きいのは、自動車の排ガス触媒であり、これだけで全需要の40%を占めます。プラチナはディーゼル車に、パラジウムはガソリン車に主に使われています。

自動車の製造にはこれらが必要不可欠な存在となっております。そのため、プラチナやパラジウムの需要は、自動車産業の需要から大まかな点がわかると思います。当然自動車の売り上げは景気動向の影響を受けますので、プラチナやパラジウムの需要も景気の影響を受けます。

供給側から見てみると、その生産量の9割は南アフリカとロシアが占めています。中でも南アフリカはその周辺国と合わせて生産量の8割を占めていますから、南アフリカ次第でプラチナの価格が決まると言っても過言ではありません。

一方パラジウムについては、ロシアと南アフリカがそれぞれ4割づつ生産しており、こちらではロシアも影響力を保持しています。生産地が世界各地に点在している金とは違い、南アフリカとロシアの状況がプラチナやパラジウムの生産に大きな影響を与えるのです。

その南アフリカですが、以前から鉱山労働者の組合と企業との間に労使紛争が続発し、生産に支障をきたしています。さらに電力不足も重なり2008年初頭にはプラチナ価格が上昇し、一時は2,300ドルを付けるまでになりました。

そしてその直後リーマンショックによるアメリカ自動車産業ビッグ3の苦境により、いっきに下落、800ドルまで下げる事態となったのです。この一連の動きは、供給の南アフリカ、需要の自動車産業というそれぞれのプラチナ市場への影響力の強さを表していると言えます。

パラジウムの方は、ロシアが2000年に輸出停止措置を講じたところ、100ドルから1,000ドルに急騰する事態となりました。プラチナやパラジウムは金ほどの流通性がないため、このように極端な動きをしがちです。

ちなみに2008年のプラチナ急騰時、ロジウムも1万ドルをつけて、その後1,000ドルまで急落しました。知る限りこの1万ドルというのが、歴史上最も高い金属価格だったと思います。

プラチナはすべての金属の中で一番比重が重く、また融点も1,768度とかなり高いことから、坩堝(ガラスを溶かすための炉)や電極、自動車の点火プラグなどに使用されています。プラチナはあまりに高価なため、省プラチナ化の試みは続いていますが、現在も難航している状況です。

一番重要なプラチナとパラジウムの需要は自動車の排ガス触媒ですが、これから市場規模が広がると言われている電気自動車には触媒を使用しません。もし現在使われている自動車がすべて電気自動車に置き換わったとしたら白金(PGM)の需要は60%減少すると言われています。

これはプラチナの需要を揺るがす事態です。ただ電気自動車と同じく次世代車と言われている燃料電池車では、反対にプラチナの使用量は増加するようです。しかしこのプラチナの使用量が燃料電池車の価格の上昇に繋がっているのも事実。いずれにしてもまだ白金の需要は当分無くなりそうにないのだけは確かなようです。

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