変動する金価格。何が価格を動かすのか?
金価格は、当然ながら需要と供給の関係によって決まります。
田中貴金属店の店頭小売価格の平均でみると、2008年に1グラムあたり2,937円だったのが、2010年に3,277円、2011年には4,060円。2012年には4,700円近辺で、2019年には4,918円となっています。
金市場は、ロンドン、ニューヨーク、香港、チューリッヒが、世界の4大市場といわれています。東京やシドニー、上海、シンガポール、インドなどにも、大きな金の市場があります。
最も注目されるのはロンドンで、「金価格はロンドンで決まる」という言葉もあります。ここでの国際価格がニューヨーク市場など、ほかの市場の金価格にも影響を与えるからです。その金市場で価格にもっとも大きな影響を与えるのが、投機マネー。
たとえば2008年にアメリカで起きたリーマンショックの影響で、急激に金価格が上昇したことがあります。リーマンショックでは、それまで好調だったアメリカ経済が大きな打撃を受けました。
その打撃から経済を回復させるため、アメリカの金融当局がとった方法の一つが量的緩和政策でした。これにより大量のドルが市場に出回りましたが、そのドルはリーマンショックで安心感を失った株ではなく、安全資産とされている金に向かう資金となり、それで金価格が急上昇したのです。
そこまで大きな規模でなくても、日ごろ行われている経済関連の統計の発表や、経済の先行きの見通しの報道によって投資家が金に投資するか、その他に投資するか方針を決めているので、それが日々の価格の変動に影響を与えることがあります。