銀の価格は安く、乱高下する余地は・・・あります・・・
田中貴金属店の税込小売価格で2012年のある日の銀の価格は、1グラム88.30円です。同じ日に、金とプラチナの価格がどちらも1グラム4,000円台でしたから、銀の価格がずいぶん安いことが判ります。
同時期の国際価格の月平均値も、金とプラチナが1トロイオンスでそれぞれ1,600ドル台、銀は33ドル。約50分の1の価格です。
価格の安い銀は少額で投資できますし、それだけに安全な感じがして投資家には根強い人気があります。しかし銀の価格が安いことそのものを原因として、莫大な投機資金が流入し、価格が乱高下することもあるので十分な注意が必要です。
1970年代に父親は石油王、自身も油田開発や石油事業に関わる大富豪というアメリカのハント兄弟が、世界で購入できる銀の半分近くを買い占めたことがあります。当然に銀価格は急騰し、一時は10倍の価格に達しましたが、反動で大暴落も起きてしまい兄弟は破産しました。
その後も1996年(平成8)、投資家のウォーレン・バフェットが世界の年間供給量の5分の1を買い占めたと発表し、このときも銀の大暴騰が起きたことがあります。
銀は莫大な資金を持つ投資家に狙われることによって、急騰や暴落をすることがあります。銀は安く購入できる投資ですが、安い投資先が必ずしも安定した投資先とは限らないということを、歴史が証明しています。