金価格に最も影響を与えるのは何か?

2000年代に入り、金価格は高騰しました。その理由はいくつかあるのですが、2004年以降の顕著な例として、金の価格と世界の資金の量が連動していることが挙げられます。

2004年1月以降、世界の資金の量が増加すればするほど、金の価格が上昇しているのです。この資金の量の増加は世界的な「金融緩和」が原因でした。

アメリカをはじめとする先進国は金融緩和を行い、景気を刺激しています。金融緩和とは、お金を刷ってお金の供給量を増やすことを言います。お金が増えれば1単位当たりのお金の価値が下がります。それに対してモノの価値は上がるのです。当然モノである金の価値も上がります。インフーレーションと同様の考え方です。

景気が悪い、これが金融緩和を行う一番の理由です。中央銀行がお金の供給量を増やせば、市場のお金が増えて金利は下落します。金利が下がると安くお金を調達できるので企業は設備投資をし、労働者を雇用してモノを作り、そのモノが売れればお金が回って景気が良くなる、と中央銀行は目論み金融緩和をしているのです。

しかしこれは成功しているとは言えない状況。低金利でも企業がお金を借りて設備投資をしないので、雇用は増えず、モノも売れないのです。そのためお金だけが市場にあまっている状態。こういう状態が続く限り、1トロイオンス当たり100~200ドルぐらいの変動はあっても、金の価格上昇というトレンドに変化はないと思います。

金融緩和はいつ終了するのでしょうか?2022年末まで金融緩和を続けると、アメリカFRBのパウエル議長が明言しました。ドルの供給量を決めているのはFRBとFOMCですから、どういう方向性を示すのか世界が注目しております。また経済危機が続くユーロ圏では、ECBが金融緩和を積極的に進めています。

日本においても政権交代が行われ、安部政権が積極的な金融緩和を推進した結果、為替相場が20円を超える円安となり、また日銀総裁も金融緩和推進派の人物に交代したため、金融緩和の流れは変わりません。このような世界規模での金融緩和により、金価格は上昇を続けることになるでしょう。

現在ドルが世界の基軸通貨ですが、アメリカの景気が後退するとドルの価値が低下します。しかし現在のところドルに代わる通貨がありません。そうするとドルに見切りをつけた投資家はドルから資金を引き揚げ、その資金をどこかに回す必要があります。そしてその有力な投資先のひとつが金なのです。

アメリカ経済が低迷を続ければ、資金は金に集まったままでしょう。ただシェールガスなどによりアメリカの景気が持ち直し、強い経済覇権が復活するかもしれません。そしてそれは金には逆風になります。アメリカの経済次第で金価格の運命も決まるのです。

アメリカの景気が良くなり、金融緩和が終了すると金価格は下落すると思われます。繰り返しますが、アメリカ経済が金価格の運命を握っており、そのアメリカ経済のかじ取りをしているのはFRBの金融政策なのです。

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