金とドルの価格とのビミョーな関係
金の価格と、世界通貨と言えるドルの価格との関係を調べてみると、そこにはユニークな関係が見て取れます。
元々金は「有事の金」と言われ、隣国と国境線1つで接しているために紛争が絶えなかった国や地域においては、昔から自分の財産を金に換えて守ろうとする意識が強いようです。つまり簡単に持ち出せ、火事になっても消失せず、他国に侵略されて仮に今まで使っていた貨幣が紙切れになったとしても、世界中のどこでも換金できる金は有事の際には何より信頼できる存在だったのです。
一方、ドルは他国との通貨の信頼性の上で価格が上下し、先般のサブプライム・ショックでも明らかなように、米国やドルに対する不安によってその価値を大きく下げてしまいます。世界中の投資家は、そのようなドルに対する不安が持ち上がると、その代わりに信頼できる金に関心を寄せます。このため、ドルの実質的な価値が下がる前に金への投資傾向が強まり、金の価格は上昇することになります。
結果として、金とドルの価格は逆に動く関係、つまり逆相関の関係にあると言うことができます。ただし短期的に見ると必ずしも値動きが逆相関とならない時もありますが、長期的に見るなら、そのような逆に値動きする関係が金とドルにはあるといえるでしょう。