金の最高値はいつ、いくらの値段が付いたのでしょうか?

金の価格決定に影響を与えるのは何だと思いますか?その答えは時代によって異なりますが、ここ数年ほどはアメリカの金融政策、そしてユーロ危機だと思います。世界経済の動向が金価格の決定に影響を与えています。

アメリカFRBのバーナンキ議長は2011年8月、2年後の2013年半ばまでそれまでの低金利政策を続けると言い切りました。低金利政策の期限を明確にしたのはこれが初めてでしたから、世界に衝撃が走りました。その結果いっせいに金が買われ、現物値決めのロンドン市場で1トロイオンス1,896ドル、ロコ・ロンドン・スポット価格やニューヨークの先物で1,925ドルをつけました。これが絶対値における金の最高価格です。

金の価格そのもの、つまり絶対値では2011年9月につけた1,925ドルが金の最高値となりますが、もうひとつ知っておくべき価格は1980年1月の1トロイオンス当たり850ドルという価格です。

お金の価値はその時代によって変化するものです。お金の価値が上がるデフレの時期もありますし、逆にお金の価値が下がるインフレの時期もあります。1980年のドルの価値は現在よりも高く、インフレ率を加味して考えると1980年の850ドルは現在の価値に直すと2,200ドル相当になるのです。つまり金とドルとの関係を相対的に考えると1980年1月の850ドルが最高値と言えるのです。

ではなぜ1980年1月に金の値段が850ドルになったのでしょうか?直接のきっかけはソ連のアフガン侵攻だと言われています。前年にイラン革命が起こり、さらには第二次オイルショックが重なりました。

そんな世界が混乱する中、ソ連はアフガニスタンに侵攻したのです。

このニュースをきっかけとして金の価格は急騰、戦争など予想外の出来事が起こると買われる、金の本領発揮と言ったところでしょうか。しかし金価格は続伸せず2日あまりで急落して元の値段水準にまで戻りました。それ以後2007年11月まで、金の価格が800ドルの大台を超えることはありませんでした。2011年9月の最高値は2000年以降の上昇相場の中でつけたモノでしたが、1980年1月の高値は2日間だけの突出した相場の中で記録したものだったのです。

アメリカの金準備法で1934年定められた1オンス35ドルというのが近代における金価格の始まりと言ってよいでしょう。この価格はニクソン・ショックによりブレトン・ウッズ体制が崩壊するまで続きます。その後のスミソニアン体制では38ドルまで引き上げられましたが、スミソニアン体制は数年であえなく崩壊、各国は変動相場制へ移行しました。その結果、金相場も変動するようになります。

その後は1980年1月に850ドルを付けた後、20年程停滞期が続きますが1999年最安値252ドルを付けます。この当時イングランド銀行が保有する金400トンを市場で売却しましたが、結果的に安い値段で売却したことになり、当時の財務大臣で後に総理大臣になったブラウンは後々まで批判されることになります。2000年代に入ってからは上昇基調が続き、前述したように2011年9月に1,925ドルを付けるのです。

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