海賊はなぜ金のピアスをしているのか
ソクラテスは「金は人間の役には立たない」といったそうです。
金の魅力にとりつかれた人々が金が欲しいばかりに犯罪を行ったり、金をめぐって身を滅ぼしていることを言ったようです。他国の黄金を略奪しようとしたり、国単位で行うこともあります。
しかし、逆にいえば人がそれだけ金について高い価値があると見ているということ。そのことがイザというときに役に立つこともあるのです。
昔の欧米の船乗りは正規の船乗りも海賊も、かならず金を身につけていました。映画などの影響で「海賊といえば金のピアス」というイメージを持つ人も多いのではないでしょうか。日焼けした肌にゴールドのピアスはよく映えるものですが、金のピアスはファッションを目的として使われていたわけではありません。
船といえば、木造の帆船しかなかったような時代に、長い航海をすることは危険なことでした。
海では何が起こるかわからないし、もとの港に無事に戻ってこられる保障はありません。嵐にあって船が遭難し、最悪の事態が起きたときのことを考え、そのためのピアスだったのです。
もし、どこか見知らぬ外国の浜辺に自分の遺体が打ち上げられても、金のピアスをしていれば、それを見つけた人が埋葬してくれるだろう。つまり、金のピアスを代金に、それ相応の葬儀をしてもらえるだろうと考えたのです。