世界で最も大きい金の取引所はどこ?
世界で主要な金の先物取引所は現在2つあります。それはコメックスと東京商品取引所です。ただ東京商品取引所の出来高はコメックスの10分の1程度しかなく、中心はコメックスとなります。
先物取引は少額の証拠金で大きな取引をすることが可能なため、資金効率を最も重視するヘッジファンドを中心に注文が集中しています。
コメックスは1933年に開設され、銅、銀、アルミの取引が中心でした。それが1974年に法改正でアメリカ国民の金保有が解禁になると、個人投資家も金に興味を持ち始め、コメックスでも1974年12月31日から金の先物取引を開始しました。1982年にはオプション取引も始められ、現在は金価格に大きな影響を与える市場となっています。
ところでアメリカでは、コメックスが銅、銀、アルミの取引を、NYMEXがプラチナ、パラジウム、原油などを扱ってきました。1994年8月にコメックスはNYMEXに吸収合併され、コメックスディビジョンという名称になりました。
先物取引所の合従連衡はその後も続き、NYMEXは2008年にCMEに買収され、当然コメックスもCMEのグループに入ることになりました。
コメックスでは従来ニューヨーク時間で昼間のみフロア取引だけが行われてきましたが、コンピューター取引導入後は毎朝の45分以外はニューヨーク時間で、日曜日の18時から金曜日の17時15分まで取引が行われています。
その一方、昼間の時間帯ではフロア取引も並行して行われています。ただやはりコンピューター取引の方が、取引量が多い状態です。余所者からすればフロア取引は時代遅れの遺物に見えるかもしれませんが、未だそこではフロアトレーダーの発言力が強く、フロア取引全廃は困難なんだろうと思います。東京商品取引所ではコンピューター取引導入時にフロア取引を全廃しましたが、まさにコメックスとは対照的です。
金市場においては、コメックスの建玉が持つ意味合いがたいへん重要です。毎週金曜日のコメックスの取引後にCFTCがその週の火曜日の取引終了時点での建玉、つまり契約残を公表します。為替の先物市場では投資家ポジションは象徴的な意味しかありません。しかし金市場のコメックスの投資家ポジションは大きな意味を持ちます。たぶん金市場すべてのポジションのうち、数分の1を占めていると思われます。
買いの状態が1,000トン付近にくると、市場は飽和状態。みなが購入している状態であり、すぐに売りが出てきて、価格の調整局面になります。一方、買いが4,000トンを下回っていると、投資家がどんどん入ってきます。このようにコメックスのポジションは金相場に大きな影響を与えるのです。ここまで来れば、コメックスが金価格を決めていると言っても過言ではないでしょう。