金の価値はどのように表すの?

1トロイオンスの金と米ドルの交換比率によって金の価値は表現されます。トロイオンスという単位は金以外にも銀やプラチナのような貴金属でも使われる単位で、1トロイオンスは31.1035グラムとなります。金に興味がある方はぜひ覚えておくとよいでしょう。

また、第二次世界大戦以降はアメリカを中心に経済が動いているため、米ドルが基軸通貨として世界各国の通貨の価値を測る基準となっています。それと同じように金も米ドルによって測られるのです。金と米ドルの取引は24時間休むことなく続けられております。

1トロイオンスあたりの米ドル建ての価格を一般に、ロコ・ロンドン・スポット価格と呼びます。これの意味は、まずロコが場所を表す接頭語であり、ロンドンにおいて受け渡すことを表しています。金には国籍が無いためイギリスが大帝国だった時代の名残で、金最大の集積地であったロンドンが今でも主要な受け渡し場所になっているのです。

しかし実際はニューヨークで米ドルで支払い、ロンドンにある口座に代金が振り込まれる、こういう仕組みになっています。金取引を生業にする業者は必ずロンドンに金専用の口座を持っていて、そこで受け渡しをするのです。

世界各地でロコ・ロンドン・スポット価格での取引が行われています。金の市場はオーストリア・ニュージーランドで始まり、東京、香港、シンガポールを経て、チューリッヒ、ロンドンに行き、ニューヨークで1日の取引は終わります。そしてニューヨークの取引が終了するのとほぼ同時刻にオーストラリアとニュージーランドの取引が始まるのです。

ただ市場とは言っても青果市場のように実物の市場がある訳ではなく、金融機関同士が1対1で売買を行うのです。ロンドン市場と呼ぶ時はロンドンでの取引が1日の中で最盛期にあるということを表しています。

金にはスポット価格(現在の価格のこと)以外にも、先物取引という将来の価格と決済日を決めて行う取引もあります。

そして金は一物一価を原則としてます。同じ時間帯であれば、どの市場で買っても同じ価格となるのです。これは裁定取引を用いているからこそできています。

理論的に同じ価格であるはずのモノがいくつかの要因で価格が異なる時、安い市場で買い、高い市場で売って利ざやを稼ぐ、これが裁定取引です。金市場においては常にプロのディーラーが裁定取引を行っています。市場がある国によって通貨も金利も異なりますから、それらを考慮して理論価格を出し、裁定取引を行うのです。一時的に価格差が出たとしてもすぐに市場原理で価格が収縮し、最後は同じ価格になるのです。

以上のように金の価格は決まっていくのですが、円で金を買う場合は1トロイオンスあたりの米ドル建ての価格を一度円に直さなければなりません。

東京商品取引所での金先物取引はグラム単位で行われます。つまり円建ての金価格は1トロイオンスあたりの米ドル建ての価格を円建てにして、さらにそれを31.1035グラムで割った1グラムあたりの価格で取引が行われるのです。

日本では東京商品取引所以外でも毎日金価格を公表しているところがあります。これらの価格は原則朝公表されると余程のことが無い限り1日同じままです。これは、はじめから1日分の動きを勘案されて公表されているため。

ですから、円建て金価格のリアルタイムの動きについては、ドル建てと為替から計算するようにした方がよいかもしれません。

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