金保有にはどのようなメリットがあるの?

金の価格は日々変動しますから、必ず上がるとか絶対に安全であるとかは言えません。ただ金は、ペーパー資産とは異なる値動きをします。株式の場合、景気が良いと株価は上がりますし、景気が悪いと下がります。また債券も景気が良いと金利が上昇し、不景気だと金利が低下します。このような株式や債券といったペーパー資産での運用が思わしくない時に、金の価格が上昇するのです。

ペーパー資産と異なる動きをする金をペーパー資産と共に保有することで、それぞれの値動きが相殺されて資産全体で見てみると、価値の変動はほとんどなくなるでしょう。資産価値が大規模に変動するリスクを軽減することができるのです。このように金を分散投資の一環として保有するのも良い方法だと思います。

この分散投資は現在、ドル資産に頼り過ぎていた新興国の中央銀行にも見られます。ポートフォリオの中で、一つの資産にあまりに集中し過ぎる弊害について官民区別無く考慮しなければならない時代になったのではないでしょうか。

金を保有するメリットして、インフレに強い点も大切です。お金の量が増えてお金の価値が下落するとインフレになります。インフレ時は物の価値が上昇するため、実物資産である金の価値も上昇する可能性が高いのです。

金の価格は一般にドル建てで決まりますから、金は外貨建て資産と同じ値動きをします。仮に円安になったとすると、円建ての資産は他の通貨と比べて目減りしますが、金を保有していれば円に換算した時の価値が増加するため、円安による資産の減少のストッパーになります。また金はそのまま持っていても世界中で通用します。

日本人の大半は資産を日本円で保有しており、外貨建てで資産を保有している人はまだ少数派です。今まではそれでも良かったかもしれませんが、この先はどうでしょうか。現在の日本には問題が山積です。累積赤字はGDPの2倍を超え、毎年の予算は国債を発行しなければ組むことさえできません。財政的にとても不安定です。また景気刺激策として金融緩和が続いており、いつインフレになるかわかりません。日本の経済力が低下すれば円安がいっきに進む可能性もあります。

ハイパーインフレを経験した国の人は金の価値について理解している人が多いですが、日本においては個人単位で危機感を感じるようなことはありませんでした。しかし現在は、円安リスクやインフレ懸念がある上、いつ銀行が倒産するかわからない時代です。

もし銀行が破たんすれば1,000万円を超えた部分の預金は保護されません。以前は安全であった預金でさえ、完全に安全とは言えないのです。銀行だけでなく地方自治体、そして国でさえも破たんの懸念があるのです。それ自体に価値がある金は、ポートフォリオに組み込む資産としては最良だと言えるでしょう。

金をポートフォリオの一部にした場合、デメリットももちろんあります。金はそれ自体に利子がつきませんし、景気がよくなれば価値が下落する可能性があります。金はそれ自体の利益を主とするより、他の資産を補完する保険の一種と考えるべきです。そう考えれば短期的な値動きに心乱されることが無くなるでしょう。

関連記事

ページ上部へ戻る