「君にとってはこれが試金石」と言われたが、どんな石?

「今度の仕事は、君にとっての試金石だ」といわれれば、「実力が試される」とか「真価が問われる」ことを意味します。この「試金石」、もともとは金の品位を調べる石のことで、黒色で緻密な石英質の石を切って砥石のようにしたもので、ルーツは古代エジプトまでさかのぼることができます。

現在は「那智黒」という石を使うのが一般的。碁石の黒石の材料としても知られる軟らかな石で、その表面を砥石で滑らかにし、胡麻油を塗って適度な油膜で覆うと試金石になります。

金を試金石にこすりつけると、その表面が数百万分の1グラムほど削り取られます。そこで光沢や色調を見ます。さらに硝酸と灰、「王水」などをかけると変色などの反応をするのでその様子から金の品位を判断します。

王水は、硝酸と塩酸の混合物。純金は硝酸には溶けませんが、王水をかけると溶け出します。純金が溶けた時の色は無色ですから、それを手がかりに純金であると判断するのです。

18金や22金も、硝酸と灰を混ぜたものには溶けません。ですが、王水をかけるとしだいに溶けて暗緑色になります。この暗緑色の具合で、18金か22金か判断します。

14~16金は、硝酸と灰を加えたものに溶けて茶褐色になります。さらに銀や銅などが混じっていると、濃硝酸で溶けます。その残滓を指標と見比べて判断するのです。

科学的に金の品位を調べることもできますが、試金石は手軽な判定法なので現在も使われています。さらに、熟練者は細かな含有量を見極めることもできます。

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