オリンピックの金メダルは本物の金を使用している?

オリンピックの金メダルは残念なことに純金製ではありません。オリンピック憲章によれば、金メダルは銀台の上に金メッキまたは金張りをしただけの代物のようです。

細かく値段を見ていくと銀台の銀の純度は、1,000分の925、金の量は最低6グラム以上のようですから、合計した価格は3万円前後になります。意外と安いのではないでしょうか。

オリンピックは出場することに価値があります。オリンピックへの出場はスポーツ選手の夢であり、金メダルを手にすることはその競技の頂点に立ったことを意味します。これは誰にでもできる訳では無いため、金メダルはあくまでその象徴なのです。市民マラソンなどでもメダルを授与することがありますが、やはり名誉を表すシンボル的な意味以上は無いのです。

また金メダルの直径は約6センチメートル、厚さは3ミリメートルのようですから、仮にこれをすべて純金製にしたらその額は莫大なものになります。オリンピックの経費から考えても現実的ではありません。

オリンピックのメダルは上から、金、銀、銅の順番です。金の方が銀よりも上になっており、貨幣の価値としても同じです。ですが数千年前は銀が金よりも価値があったのです。

金と同じく銀も数千年前から人間によって利用されてきました。金は砂金などの自然金として見つかることも多かったようですが、銀の場合は自然銀で見つかることはほとんどなかったようです。そのため古代エジプトでは、銀は金の2.5倍の価値があったと言われています。

その後、銀の生産方法が発明され生産量が飛躍的に増大すると、その希少性から金と銀の価値は逆転しました。18世紀に万有引力で有名なニュートンが、金と銀の交換比率を1:15にしたのはよく知られています。またその当時の中国の金と銀の交換比率は1:10、日本では1:8であったとアダムスミスが記した「国富論」に記述があります。

20世紀に入ると国家による統制が無くなったので、交換比率は純粋に需要と供給で決まるようになっています。近年で言うと金と銀の交換比率は、おおむね1:50から1:60の間で推移しています。生産量で比べると銀の生産量は金のおよそ10倍程度ですから、現在の価値は銀が安過ぎるし、金が高過ぎるとも思えます。産業的には銀の方が需要が高いですから、なおさら不思議に思えます。

ボロが出ることを「メッキが剥げる」とも言います。金製品でも純金製と思っていたら金メッキがしてあるだけと気付いたら、がっかりします。ではがっかりしないように金が本物か否か、見分けるにはどうすれば良いのでしょうか。

金の延べ棒の場合、まず刻印を確認しましょう。金の延べ棒は保証書がない代わりに、純度をはじめとする情報が延べ棒自体に刻印してあるのです。

また刻印が無い金製品ならば、比重を比較することで判断可能です。金の比重は19.32ですから、比重の違う他の金属を使用していた場合はこれで判断できます。ただ、タングステンに金メッキがされたものには注意が必要です。タングステンと金は比重がほぼ同じですから、比重を比べただけでは判断できないのです。

そこで最後は溶かしてみることになります。これをすれば確実に本物か否かがわかります。

現在流通している純金は純度100%の金という訳ではありません。技術上の問題から純度100%のものは造ることができないのです。そこでフォーナインと呼ばれる純度99.99%の金を純金と呼んでいます。現在最高の技術を使ってもファイブナイン、つまり99.999%が限界なのです。

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