銀にはどのような特徴があるの?

「貧乏人の金」。アメリカにおいて銀はそう呼ばれており、個人投資家には金よりも人気があるかもしれません。銀は金と同じく貴金属であり、また銀の値動きも金と同じような動きをするので、金に投資するだけの資力が無い小口投資家に人気があるのです。アメリカではイーグル銀貨というコインが投資家の人気を集めており、相場が過度に盛り上がると売り切れる事もあります。

銀の市場として有名なのは金と同じくニューヨークのコメックスです。過去にハント兄弟というテキサスの石油王がアラブの富豪と協力し、コメックスをはじめ世界中の先物で銀を買い占め、銀の価格が5ドルから55ドルまで高騰したことがありました。彼らの目的は金と銀の比価を5対1まで引き上げることでしたが、コメックスの取引ルール変更により資金がショートし、あと一歩というところで失敗しました。

それ以来、銀の価格は5ドルから動くことがほとんどありませんでしたが、金の高騰に連動するかのように2004年あたりから銀も急騰し、2011年4月には50ドル近辺まで上がりました。しかしその後少し戻して、現在は30ドル前後で安定しております。

前述したように、銀は金と同じような値動きをします。銀の安い点に引かれて投資する投資家が少なくないからです。ただ金と比較して価格が桁違いに安いので、値動きはダイナミックになります。著名な投資家であるウォーレン・バフェット氏が1996年に銀を大量に購入し、話題になりました。株式投資で名を売ったバフェット氏が銀を買ったと言う事で、その話が市場の強気材料となりました。バフェット氏は実用的価値があり、産業用の需要が強い銀の貴金属としての価値に大きな将来性を見出したのかもしれません。

金と銀は対照的と言える程に異なった需要構造を持っています。金は工業的需要が低いのに対し、銀は工業的需要が高く、全体の80%は工業的需要です。銀は実用的価値が高いと言われるのはこれが所以なのです。

ちょっと前まで銀は写真需要が一番大きかったのですが、デジカメの時代の到来とともに写真のフィルム需要が低くなってきました。当時はフィルム需要激減で銀価格の低迷が予測されましたが、太陽光パネルなどの新しい銀の応用分野が開拓され、銀の産業需要は以前と同じくらいの水準を保っています。さらに近年では、銀の特性である抗菌性を生かした殺菌剤としても需要が増えてきています。

2011年の銀の鉱山生産量は約2万3,700トンで、金の約8.4倍の生産量があります。その一方2013年3月現在、銀価格は28.30ドルで金の価格1,600ドルの56分の1でしかありません。これは金が高過ぎるのであり、銀が安過ぎるととも言えます。

銀の年間生産量2万3,700トンのうち、メキシコ、ペルー、中国の上位3カ国で総生産量の過半を占めます。それ以外ではオーストラリア、チリ、ポーランド、ロシア、ボリビア、アメリカなどでも産出されています。スクラップから回収する銀も年間8,000トンほどあり、増加傾向です。鉱山生産、スクラップからの回収も増えてきているのですが、需要が横ばいですから現状、供給量の増加分は投資家の買いによって吸収されています。そういう状況のため、投資家の動向が銀価格に影響を与えるとも言えます。

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