銀の価格上昇率が金を上回る!?イギリスのコンサルタント会社が予想
金と銀の価値比率のことを「金銀比価(GSR=ゴールド・シルバー・レシオ)」といいます。これは、銀を1として、同じ重量の金の値段がその何倍になるかを示す数値です。金銀比価の数値が大きいほど銀に対しての金の価値が高くなっていることを意味します。
つまり、極端な例を出すと金銀比価が1の場合は金は銀と同じ価値しかなく、金銀比価が100の場合は金は銀の100倍の価値があるということです。貴金属の投資家や評論家などは、金と銀の収益率を金銀比価でチェックしています。
金銀比価のピークは2008年のリーマン・ショック時で、当時の最高値は80になりましたが、2011年4月に銀相場がトロイオンス(金や銀の重さの単位)あたり50ドル近くにまで暴騰した時にはここ30年で最も低い30になりました。その後は、過去15年の平均的な数値である50~70の幅の中で推移しています。
ロンドンの金取引市場を独占しているともいわれるイギリスのスコシア・モカッタ銀行のテクニカルアナリスト(株などの取引市場のチャート分析をする専門家)は、金銀比価は横ばいで、その日の取引開始価格と終了価格が同程度の水準となる狭い幅の価格変動が形成されつつあるという見方をしました。
同じくイギリスの貴金属コンサルタント会社・メタルスフォーカスは、金銀比価が2014年7月に62.1に下がってから66.1に戻っているというデータを発表。
ドイツのコメルツ銀行のアナリストは銀価格が金価格を正確に追って金銀比価が66から変化をしていないとコメント。スコシア・モカッタ銀行のアナリストは、金銀比価が66から変化していないことを受け、金価格の上昇率のほうが銀を上回ると予測しています。
これに対しメタルスフォーカスは、例えわずかでも銀価格の上昇率のほうが上回るはずであると反論しています。
メタルスフォーカスによると、投資家の中で金投資へのモチベーションが欠落しているのに比べて、銀投資に関してはその兆候がない現状から、銀への投資需要は金と異なり投資家の中で確たるものがあるとして、現在の金銀比価がある程度続いた後に2015年までに銀価格の上昇率が金価格の上昇率を上回るだろうというとのことです。
また、メタルスフォーカス社の最近のレポートでは、アメリカ先物オプション市場で、2014年8月に投機家による売り待ち=ショートポジションが倍増したために銀価格が下がったが、金先物に対するショートポジションは40%に過ぎず、銀の買い戻し=ショートカバーによる価格上昇があるとして、金銀比価は今後下がっていくはずであるという見解を示しています。
そしてその理由として電機・電子工業の業績が好調なことから、電子部品等の銀メッキに使われる銀の工業重要が回復しているためであると述べました。
さらに、そうした状況は更なる高い投資と需要を呼び、収益率でも金より銀のほうが高まるだろうと予想しました。