金を売却すると消費税が還付されるの?

当然、金の現物を購入する場合、消費税がかかります。そして金を売却すると、反対に消費税分を受け取ることができます。消費税を受け取るという表現から、「金はやっぱり特別だ」と思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、別に特別では無いのです。では、どうして特別だと感じるのでしょうか?それはおそらく、一般消費者だと、購入するのは当たり前なのですが、売却するのは当たり前では無いからだと思います。しかし金取引では、売却は当たり前のことなのです。

我々が物を購入する場合は最終的な消費のためであり、それを売却するということはほとんどありません。しかし、金を含む貴金属では投資用の地金を購入した場合、そのままの形で後に売却するのが普通なのです。

我々が金を購入し、消費税を業者に支払ったらその業者は消費税を国に納付します。反対に我々が金を売却したら、その売却代金の中に明示されていなくても消費税が含まれています。我々は購入した時の業者同様、売却することにより消費税を受け取っているのです。

購入したら消費税を支払い、売却したら消費税を受け取る。これはすべての商品に共通しています。問題はその先です。業者ならば金を売却した時の消費税と、購入した時の消費税を総計して税務署に申告し、受払を行います。最終的に業者が金を消費せず、あくまで仕入れて販売するのみならば、業者は受払をしていても還付などを通じて実際の負担はゼロになるはずです。消費税は、商品を最終的に消費する人間が負担するとなっているからです。

金の延べ棒の場合、我々が購入しても原則それを消費するようなことはありません。長期保有する方がほとんどですが、それはイコール消費するのでは無くいつか売却することになるでしょう。そうすると、売却時に消費税を受け取ることになり、その金について消費税を支払うのは次の購入者となります。金の場合、その現物を所有している期間だけ、消費税を負担している形になるのです。

では、我々が金の延べ棒を売却したことによって得た消費税はどうするのでしょう?本来なら税務署に申告して納めるものではないでしょうか。しかし現実問題、消費税の納付義務があるのは、法人と1,000万円以上稼いだ個人事業主だけですから、それに該当しない人間は申告納税する必要はないのです。購入時と売却時の税率が同じなら、有利も不利もありません。では将来的に税率が上がる場合はどうなるのでしょうか?

他の国の場合、付加価値税の税率は日本より高いのが普通ですし、付加価値税が無い国や地域も存在します。理論的には付加価値税が無い国で金を購入する方が、付加価値税がある日本などで購入するより安価で金を購入できます。そしてその金を日本に持ち込み、日本国内で売却すれば消費税分まるまる儲かることになります(売買スプレッドや相場の変動を考えない場合)。実際これと同じような事を50回繰り返し、逮捕された事例もあります。本来なら税関で申告し税金を支払う必要があったのに、それをしていなかったそうです。

今後日本では将来的に消費税が15%まで上がるという説もありますが、このような事例が増えるかもしれませんね。

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