金に関係する税金は消費税以外にもある!?
個人が金の延べ棒を売却して得た利益は、基本的に譲渡所得に分類され課税されます。金は不動産と同様の資産とみなされるのです。そして給与などの他の所得と合算され、総合課税の対象になるのです。
ただ、保有期間の長さで対象が優遇される場合があります。
例えば、金を5年以上持っていたなら長期保有とされ、譲渡所得の計算が半分になるという優遇措置があります。また装飾用などの生活用の物品では、1個または1組の価値が30万円以下であれば課税そのものがされません。
営利を目的として金の延べ棒を継続的に売買している時は譲渡所得とされず、事業所得または雑所得として総合課税の対象になる場合があります。セミプロレベルのトレーダーならば、事業所得と同様であると見られる訳なのです。
純金積立で取引が年1回程度の場合、継続的な売買とみなされず、譲渡所得として扱われるのが一般的です。またその譲渡所得に対する契約は、先に取得したものから順次売ったものとみなされるようです。
50万円の特別控除が譲渡所得にはあり、合算した譲渡益が50万円を超えなければ税金がかからず、また50万円を超えた場合は、超えた部分だけが総合課税の対象になるのです。仮に金の取引で損失が出た場合は、損益通算を行い課税対象を少なくすることができます。
現在はほとんど見かけることがなくなった金貯蓄口座の場合、事実上、定期預金と差がありませんから20%の源泉分離課税となります。
金は流通性があり、またそのももの価値があるうえに小型であることから、価値の保存法としてたいへん優れたモノです。
相続や贈与の場合、金は現金に準じるモノとして扱われえます。金の延べ棒の価格は贈与成立日の金の市場価格が参照されます。金を購入した日の価格ではないので、ご注意ください。
贈与の場合、年間110万円までは基礎控除として課税されません。そこで、消費税増税前に金の延べ棒を何本か購入しておき、それを毎年評価額が110万円以下になる分を贈与していくと贈与税がかかることなく贈与ができ、また今後増税される消費税のメリットも享受できるのです。不動産の場合は簡単に分割することはできませんが、金の延べ棒ならば容易に分割できます。インフレのヘッジにもなりますので、金は贈与にもってこいの資産と言えます。
相続の場合、金の相続税は被相続人が他界した日の市場価格で計算することになります。
日本の将来について考えてみると、円安や国債暴落によるハイパーインフレの可能性を排除できません。次の世代に資産を残したいのであれば、リスクに強いモノを選ぶのが理にかなっていると考えます。金は短期的な利益を追求する手段では無く、長期的に資産を保全するためのモノであると個人的には思います。
金の延べ棒というと、映画などで脱税者が家に隠し持っているというイメージがあると思います。確かに以前は無記名性のために金が売れたという場合もあったようです。しかし現在は200万円以上の金の取引をした場合、「支払調書」と「本人確認書類」の提出が義務付けられたため、無記名性はなくなったと言えます。